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先を見据えた本質的な学び −期末テストを終えた生徒の感想−

 先月の期末試験に際して、これまでと勉強法を変えた当塾の生徒が2名おり、彼・彼女らが興味深い感想を伝えてくれました。

・1人目 

 この中3の女子生徒は、これまでの定期試験において150人を超える学年で何度も総合1位の成績をとっていましたが、その学習法や理解の仕方に改善の余地があることを私から指摘されていました。彼女のテスト対策は、2週間以上前から問題集を4~5回ほどひたすら繰り返し、定期テストに出そうにない標準~応用レベルの問題に手を出すことなく、基礎レベルの問題を無闇にこなすというものでした。それによって理解が深まるタイプの生徒もいますが、この生徒はそうではなく、テストが終わった後に同分野の入試問題を出されてもなかなか解けない、ということがこれまで何度もあり、そこで私から「本質を理解する勉強が出来ていないのではないか」と指摘をされていた、という次第。

 彼女はそれを受け、「今回は反復に頼るのではなく、ちゃんと理解するような勉強をする」と宣言し、学習法を改め、「教科書を熟読する」「問題をただ繰り返すのではなく、人に説明するように解く」「用語や解き方の暗記をするのではなく、流れや意味を感じながら学ぶ」といったことに重点を置くようにしました。結果は学年4位となりましたが本人は手応えを感じてくれたようで、「教科書をじっくり読んだら流れが分かって面白かった(これまではそれが分からずただ単に用語の暗記をしていたのだと分かった)」「こんなにたっぷり寝られたテスト期間は無かった(これまでは無駄な時間が多かった)」「勉強が楽しく感じた(主体的な学びが出来ていた)」という感想を伝えてくれました。

 このあたりの地域の中学校の定期試験は、理解せずとも反復をこなすことによってそれなりの得点が取れるレベルのものであり、そのため「勉強」をそういうものだと勘違いしてしまう生徒・保護者が多い印象です(またそういった指導をする学習塾も多いです)。知性を高めることや大学受験の対策を考慮することなく定期テストの得点アップだけを狙うのは、それほど難しいことではありません。ただしそのような目先の成績だけを気にする学習スタイルを続けてしまうと、理解力を高める機会を失い、また主体的に学ぶきっかけを失い、高校に入り難易度が上がる(都市部から見ればようやく標準レベルになる)と内容が理解できずに伸び悩んでしまう、という生徒が続出することになってしまいます。

 この生徒は、私のそういったアドバイスをしっかりと理解し聞き入れてくれたため、今回のテスト勉強で学びの本質を掴んでくれたように思います。順位は多少下がりましたが、それは長い目で見れば問題でなく、むしろ高校入学後にも生きてくる勉強法・頭の使い方を、これを機に掴めたのではないか、と感じています(「勉強時間をすごく減らしたのに、得点はそう変わらなかった」という生徒の言葉に、その効果が表れていると考えられるでしょう)。大学進学を予定している生徒の皆さんやその保護者の方々に、この生徒の決断と視野の広さを学んでもらえたら、と思っています。

・2人目

 この高2の男子生徒は、自ら主体的に学びを進める大切さを、この期末試験期間に示してくれました。彼は、時間と気持ちを費やす対象であった部活動を数ヶ月前に辞め、それによって下校後の自由時間を増やし、その時間を当塾に来て自習する時間に充てたり、小説や映画を観る時間に充てるなどして心身の余裕を得たことで、自身にとって必要な勉強を見つめることができ、今回の期末試験において好成績を納めるに至りました。部活動を辞めるという行為は、なかなか決断が難しいものですが、それによって状況が好転することも少なくありません(もちろん部活動から学ぶこともあるでしょうから、辞めることを推奨しているわけではありません)。ただ惰性で続けるよりも辞める(変える)という判断をすることが、大局的な視点で見れば功を奏す場合があることも伝えておきたいと思います。

 このように自ら決断し、自身で歩みを進めていく彼はまた、進学校の高校生らしく、定期テストのための勉強は最低限しか行わず、代わりに英検や外部模試を自主的に申し込み、東京都内まで受験しに行くなどして、期末テスト前の期間を過ごしていました。ちなみに英検2級を無事合格し、外部模試でも数学で偏差値およそ60(このとき彼が受験した「駿台模試」はレベルが高く、皆さんが学校で受ける進研模試より偏差値にして10~15ほど差があると考えてください)をとるなど、定期試験を目標にする勉強ばかりしているような生徒では得られない、素晴らしい成績をおさめています。

 彼が素晴らしいのは、期末テスト直後であっても関心を持って人文書内田樹「寝ながら学べる構造主義」)を意欲的に読んでいるところで、それは「テスト期間中でもよく寝ていた」という言葉からわかるように、直前詰め込みでない学習スタイルを身に付けているからこそ成せる技でしょう。彼にとっては、定期テストであっても普段とそれほど変わらない姿勢で臨んでいるため、疲れが大きくなく、学びが途切れないのだと考えられます。

 大学進学を考えている生徒・保護者の皆さんにとって、この生徒の姿勢から学べるところは大いにあるはずですし、私から見ても進学校の生徒にふさわしい姿勢であると感じています。

 そしてこの二人の例から分かるように、定期試験の本来の役割は「学習のきっかけ」であり、結果そのものが重要なのではありません。成績に一喜一憂するのではなく、生徒自身の成長が見られるかどうか、という視点から定期試験の意義を考えてもらえたら、と思います。

 

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